【彫金】手作りでアクセサリーを製作する3つの方法【技法・技術編】

技法・技術編
Qlip
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どうもちょっぴり職人Qlipです。
最近ハンドメイドアクセサリーを目にすることが多くなったように感じます。
簡単なものでは市販のパーツを組み合わせたモノもありますが、オリジナルにデザインされたアクセサリーはどのように作られているかご存知でしょうか。

今回はオリジナルアクセサリーを手作りする方法を3つお話しをしようと思います。

家でも簡単手作り 〜銀粘土〜

最も簡単にアクセサリーを手作りする方法が「銀粘土」です。
必要となる工具も少なく気軽に作り始めることができ、完成させるまで全て自分で作業することができます。
イメージとしては、粘土細工を作る要領でアクセサリーを作る方法になります。

『銀粘土』
微粒子まで細かくした銀の粉末に水と結合材を混ぜ合わせた粘土状の素材。
乾燥によって水を蒸発、焼成することで結合材を焼失させ、純度99.9%の純銀が残ることによってアクセサリーなどを創作することができる。
乾燥と焼成をすることで製作時から完成するまでに多少の収縮を伴う。

制作手順

粘土細工をするように形を整形し乾燥させ、ヤスリなどを使い形状を整えます。
その後さらに十分に乾燥させます(水分が残っていると焼成時に割れや亀裂の原因となります)。
ガスコンロなどに網を設置し銀粘土を焼成し、結合材を焼失させます。
焼きあがったアイテムをヤスリでさらに整形したり、シルバーポリッシュなどで磨き上げればオリジナルアクセサリーの完成です。

メリットとデメリット

メリット
・ペースト状のため加工が容易であり自由度が高い。
・専門的な知識や加工技術をあまり必要としない。
・必要な工具が少なく、工具への初期投資が安い。
・非常に高い純度の銀製品になるため金属アレルギーを起こす可能性が非常に低い。
・全ての作業工程を自分で行うことができる。

デメリット
・極端に繊細な造形をすることが難しい。
・合金ではない。
一般的なシルバーアクセサリーは、Silver925という銅との合金にすることで硬度をあげている。
銀粘土で作る場合は純銀に近いため硬度が低く、傷や凹みなどが付きやすい。
・強度があまり高くない。
銀粘土で作るモノは銀の微粒子の集合体であり、銀という塊ではない。
これは銀粘土は銀の微粒子を固め合わせた集合体でしかなく、微粒子間には水分や結合剤があった場所に隙間ができてしまうためです。
銀の融点は約960℃であり、銀粘土の焼成温度は650℃〜900℃未満のため銀の粒子が溶けて固まっているわけではありません。

要点

銀粘土は簡単な造形であれば手軽に制作することができるが、一定以上の繊細な細工を施すこと難しくなります。
準備する工具が少なくすぐに始められるので、少し興味がある程度でも始めることができます。
銀の純度が高いため金属アレルギーの心配はほとんどありません。
硬度が低いために市販のアクセサリーと比べ、もろく傷つきやすいので取り扱いに注意する必要があります。

気軽に始めることができ、個人で作ることを楽しむことに向いている方法になります。

アクセサリー作りの王道 〜ロストワックス〜

流通しているアクセサリーのほとんどが「ロストワックス」という方法で作られています。
加工の容易な素材で原型を作り、金属に置き換えることでアクセサリーを作る方法になります。
金属に置き換える作業は、型に金属を流し込む「鋳造(ちゅうぞう)」という作業工程になり「ロストワックス鋳造」と呼びます。
ある程度の工具を準備すれば始めることができますが、知識と技術が必要になってきます。

『ロストワックス鋳造』
ワックス(ロウソクのロウのような素材)で作られた原型を石膏に埋没させ、加熱しロウを溶かし出すことで石膏の中に原型と同じ形の空洞を作ります。
石膏の中の空洞に金属を流し込むことで、原型と同じ形状の金属を取り出すことができます。
金,銀,プラチナに真鍮など、アクセサリーに使われる金属のほとんどがこの方法で鋳造することができます。
アクセサリーを制作する人は「鋳造」することを英語呼びで「Cast(キャスト)」すると言います。

制作手順

ワックスをヤスリなどで整形したり、彫刻を施すことでアクセサリーの原型を制作します。
鋳造を引き受けてくれる業者にワックスを渡し金種を指定します。
金属になって戻ってきたパーツを整形し、研磨剤で磨き上げることでアクセサリーが完成します。

メリットとデメリット

メリット
・原型制作に使うワックスは加工性が高く細密な表現が可能。
・原型製作時のコストが低い。
・金種を選ぶことができる。
・量産性が高い。
型を作り流動性の高いワックスを流し入れることで、原型の複製を作ることができる。
型から出したワックスも加工,修正ができるため、リングのようなサイズを変更する必要があるものでも量産可能。

デメリット
・原型制作から仕上げの工程まで、使用する専門の工具を揃える必要がある。
・鋳造するためには大型の専門機材が必要であり、個人で作業することが難しく専門の業者に委託する必要がある。
・まれに鋳造が失敗することがある。
・金属を流し込むための道となる「湯口」が付くため仕上げの工程が必須。

要点

一般的なアクセサリーは「ロストワックス」によって作られています。
ワックスという加工性の高い素材を使用して原型を制作できるので、シンプルなものから細密なものまでデザインに幅を持たせることができます。
型を作ることで大量生産が可能なことが「ロストワックス」の大きな特徴です。
制作工程には多くの専門的な工具が必要になるため多少の初期投資が必要になります。
「鋳造」の工程は個人では困難なため請け負ってくれる業者を見つけなくてはいけません。

デザイン性の高いアクセサリーを制作することができるため、趣味から製品の制作まで幅広く対応できる方法になります。

ロストワックスを使用して指輪を作る工程をこちらの記事で紹介しています。

【彫金】指輪のロストワックスを使った作り方【制作工程】
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技術と技法を身につけて職人へ 〜鍛金〜

古代から現在までアクセサリーやジュエリーを手作りする方法は、金属を直接造形する「鍛金(たんきん)」が使われています。
金属加工は様々な技術や技法があり「鍛金」も技法の1つです。
一部のジュエリーがこの方法で作られています。
作業工程に合わせた多くの工具が必要になります。

『鍛金』
金属を金槌などで打つことで整形していく技法。
金属は加工を加えるほど硬くなってしまうため、火を当てる「焼なまし」という工程と「鍛金」を繰り返しながら目的の形状まで整形していきます。
例えば、カタナを作っているところをイメージするとわかりやすいと思います

制作手順

金属の地金(棒や板)をイメージした形状になるように切り出します。
金槌やヤットコなどの道具を使い、延ばしたり曲げたりします。
この時、加工により金属が硬化するため「焼なまし」を繰り返しながら目的の形状を目指します。
パーツを接合する場合は、溶接(ロー付け)する必要があります。
目的の形状になったところで、表面の凹凸や傷をヤスリで削り落していきます。
形を整形し、研磨剤などで磨き上げてアクセサリーの完成になります。

メリットとデメリット

メリット
・叩いて作り上げるため強度に優れる。
・鋳造では再現できない薄さでも加工が可能であり、強度を保つことができる。
・高純度の貴金属でも硬度を確保できる。
・様々な技術や技法と組み合わせることで芸術性の高い作品作りができる。
・全ての作業工程を自分で行うことができる。

デメリット
・金属を直接加工するため、複雑なデザインを表現することが難しい。
・完成する作品よりも大きい金属の素材が必要になる。
・知識と経験が必要になるため習得に時間がかかる。
・作業ごとに工具を使い分けるため大量の工具が必要になってくる。

要点

古くから研鑽されてきた金属加工技法である「鍛金」はすぐに習得できるものではありません。
はじめは単純なリングでも作るのが難しいですが、何度も挑戦することで自分の成長を感じながら取り組むことができます。
芸術性の高い作品作りをするためには必須となる基本的な技法です。
必要となる工具も多いため資金をしっかりと準備する必要があります。

デザイン性や密度の高い作品作りができるのですが、知識や経験が必要になってくるので、じっくりと研鑽しながら楽しむ方法になります。

まとめ

ざっくりと3つの方法について書き留めましたが、ハンドメイドアクセサリーはいずれかの方法で作られています。
オリジナルでアクセサリーを作ること自体はあまり難しいことではなかったりします。
作りたいイメージに合わせた作り方を選び取っていきましょう。
それぞれの方法にメリットもデメリットもありますが、チャレンジしてみることをお勧めします。

私自身も3つの方法全てに挑戦しました。
それぞれに学ぶべきことがあり、どこかで繋がってくるので無駄にはなりません。
全てに共通することは、作り続ければ素晴らしいアクセサリーが作れるということです。

作り方を知ることでアクセサリーやジュエリーを、より身近に感じられるようになって頂ければと思います。

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