『黄鉄鉱・パイライト』【宝石】ちょっと不思議な鉱物

宝石編
Qlip
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どうもちょっぴり職人Qlipです。
あまり馴染みのない鉱物のパイライトですが、結晶はとも興味く綺麗な立方体で地中に埋まっていることがあり、原石の状態に違和感を感じる鉱物です。
そんな不自然な物質パイライトはどんな鉱物なのでしょうか?

不思議な鉱物パイライトについて少し深掘りしたことを書き留めていきます。

黄鉄鉱(パイライト)とは

  • 和名「黄鉄鉱」、英名「Pyrite(パイライト)」
  • 鉄と硫黄で構成される硫化鉱物
  • 淡黄色の真鍮色で金属光沢を持つ鉱物

「Pyrite(パイライト)」の『pyr』はギリシャ語の「火」に由来するもので、金槌などで強く叩くことで火花を散らすことから名付けられました。
古代では火打石としても使われていたようです。

黄鉄鉱は人工的ではと思えるほどに整った立方体の原石から、八面体や五角十二面体とそれらの集合体として採集されます。
結晶が生成される温度や圧力の環境や、鉄と硫黄の濃度によって結晶の形状が変化します。
採集される結晶の形状の種類は10数種類に及び、原石の結晶状態を楽しみコレクションする鉱石として人気があります。

色は真鍮のような金属光沢なのですが、金と見間違えられることが多かったために、Fool’s Golg (フールズゴールド,愚者の金)と呼ばれていたりもします。
この鉱石はインクルージョン(不純物)として他の宝石の中に含まれていることが多く見られます。

モース硬度は6〜6.5と宝飾品に使用するには少し柔らかめなので、石を留める際には気を使う必要があります。
割れた時の断面は貝殻状に剥離します。
湿気に弱く脆くなり、鉄を多く含むために酸化し変色します。

宝飾品との関わり

現在は加工品よりも、多彩で一見人工的な原石の結晶状態を楽しむ鉱石標本として扱われることが一般的です。
特徴的な結晶ではあるのですが、原石のためサイズを均一に保つことができないので、アクセサリーとして量産することが難しいことが加工品が少ない理由です。

原石を加工することでジュエリーへ

現在ではあまり使われることがなくなってしましましたが、18世紀頃に加工した宝石として人気が高かったのです。
「マルカジット(マーカサイト)」と呼ばれダイヤモンドの代用品としてジュエリーに用いられ非常に人気がありました。

マルカジット(マーカサイト)
パイライトを六面体にカットしたもので、独特の金属光沢も相まって深い煌きのあるジュエリーになります。
18世紀から20世紀のアンティークジュエリーに使われており人気のあるものなのですが、パイライトは鉄分を多く含むため酸化や腐食の影響を受けやすいため、コンディションの良いものは希少価値の高いものとなっています。

古代の化石が黄鉄鉱に変化

黄鉄鉱(パイライト)は特徴的な結晶状態が注目されがちですが、稀に別の形になることがあります。
それがアンモナイトなどの黄鉄鉱(パイライト)化した化石です。
化石は動物の骨や殻などの硬い組織が鉱物に置き換わることで現在まで残っているものが多いのですが、化石になる地質環境が黄鉄鉱(パイライト)を作り出す環境である場合に生み出されるのが化石黄鉄鉱(パイライト)です。
例えば、海底の硫化水素が多く酸素の少ない海底などで、アンモナイトなどの殻の石灰成分が硫化水素と反応することで黄鉄鉱に置き換わることがあります。
状態良い結晶は当時のアンモナイトの姿を正確に結晶化しており、鉱物標本としてもアクセサリーとしてもインパクトがあります。

まとめ

人工物と思ってしまうほど整った立方体で地中に結晶化するパイライトが注目されつことが多いですが、結晶の種類も多く集合体として結晶化することもあり、同じ表情を見せないオブジェとしても楽しめる鉱物です。
鉄分を多く含むために経年変化も楽しむことができます。

ジュエリーとしてはアンティークジュエリーにおいて、ダイヤモンドの代わりを果たすなど一時代を築いた宝石の一面もあります。
原石も特徴的なため一点モノのアクセサリーとしては目を引く宝石となります。

黄鉄鉱化したアンモナイトは形状も様々でコレクションしても面白いです。
形状や大きさに個体差があるため、一つとして同じモノがないことも特別感があります。

黄鉄鉱(パイライト)は少し不思議な鉱物ですがとても魅力ある宝石でもあります。
手にとってその不思議に触れてもらえればと思います。

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