【彫金】指輪の選び方!5つの視点から解説してみる【装身具編】

彫金 指輪 リング 選び方知識編
どうもちょっぴり職人Qlipです。
今回はアクセサリーをあまり身につけない人に向けて、「指輪」についてお話しします。

指輪は最もポピュラーなアクセサリーといっても過言ではないでしょう。
ファッションや、婚約や結婚などのイベントの象徴として用いられるアクセサリーの代表格です。
そんな指輪ですが普段からアクセサリーを身につけないと、どのように選べばいいのか分からない装飾品なってしまうようです。
素材やデザインによって幅広く展開される指輪というアクセサリーを、幾つかのファクターに分解することで解説していきます。

指輪のデザイン


指輪といっても形はそれぞれです。。
シンプルなデザインからファッションショーなどで見かけるような変わったデザインまで、指輪と言っても色々なデザインがあります。
どのようなデザインがあるのか、大きく4つの種類に分けてみました。

ファッションやシチュエーションによってデザインを選ぶこもありますが、自分の気に入ったアクセサリーを身につけるようにしています。

シンプルなデザイン


指輪といえばシンプルな「輪っか」をイメージする人が多いでしょう。
シンプルな指輪は装飾がないからこそ、金属本来の美しさを引き出すようにデザインされることが多くなります。
シンプルな輪を磨きあげたモノから、指輪のラインを湾曲させたり表面に様々なテクスチャーを入れることで表情に変化をつけるなど、工夫を凝らしたデザインを施すこともできます。
どのようなファッションでも自然に使用できるので、指輪をしたことがない人でも抵抗なく身につけることができます。
大きな特徴がなく差別化が難しいため、選ぶ際には装着した際の着け心地や表面が美しく磨かれているかを見極めましょう。

マリッジリングのように常に身につけるようなイメージのある指輪はシンプルなデザインになりやすいです。

モチーフのあるデザイン


シルバーアクセサリーといえば「ドクロ」や「十字架」を思い浮かべるかもしれません。
アクセサリーをデザインするにあたり題材を決め、リアルに再現したりデフォルメすることでオリジナリティーが与えられ、指輪という形に落とし込まれています。
イメージが伝わりやすくファッションの起点としても使うことができます。
モチーフによっては意味を持つものもあり、お守りや幸運の象徴など身につけることに意味を持つデザインが多くあります。
モチーフのあるデザインは指輪自体が大きくなりがちで重量が重くなる傾向があります。

宝石を使用したデザイン


ジュエリーと聞くと宝石もセットでイメージされることも多いでしょう。
宝石がメインであったり、モチーフを引き立てるように宝石を使用するデザインがあります。
金属だけでは表現することが難しい色味が得られることも大きな利点です。
誕生石やパワーストーンなど宝石ごとに意味が込められているので、自分に合わせた宝石からアクセサリーを選ぶこともできます。
宝石に希少価値があるためアクセサリーとしての単価が上がりやすく、同じ大きさの金属で作られたモノよりも割高になります。

宝石によっては取り扱いに注意が必要なため、どのような宝石が使われているかを確認しておくと安心です。

コンテンポラリーデザイン


ファッションショーやパーティーなどで目を引くようなデザインの指輪を見たことがあるでしょうか。
着用性や使用感を度外視したデザインであることが多く、あまり普段使いを意識していません。
一点ものとして制作されることも多いため購入することも難しくなります。
身につける場合は指輪を中心としたファッションのコーディネートが必要かもしれません。

指輪として扱うよりはコレクションピースとして保管することをオススメします。

指輪のサイズと測り方


指輪を装着する際に重要になるのは人それぞれに違う指のサイズです。
指輪のサイズは国ごとに規格が違いますが、日本国内の規格はJCS(ジャパンカスタムサイズ)で表記されています。
JCS規格は1号大きくなるごとに内周が約1mm、内径が約1/3mm大きくなっていきます。
指ごとにサイズが違い、適切なサイズを選ぶことが指輪の着け心地に影響を与えます。
季節や時間,指のむくみによって、指のサイズは最大で1号程度変化すると言われています。
これらを踏まえて指輪のサイズについてお話ししていきます。

「指輪のサイズの計り方」についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

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リングのデザインによって変化するサイズの選び方


指輪は指に通すアクセサリーですが、特に指輪の幅によって測定した指輪のサイズと、実際に装着する際身につけられるサイズに違いが出てきます。
これは指についているお肉が指輪を逃すことができれば測定したサイズになり、幅が広い指輪に詰まってしまうことで圧迫し想定したサイズよりも大きさを必要とすることがあるためです。
指輪はデザインにより着け心地が大きく違うため、実際に身につけてから選ぶことを強くお勧めします。

細身の指輪

指輪の幅が細くなるにつれて、測定したサイズよりも小さいサイズでも問題なく身につけることができるようになります。
細身の指輪は指の節や多少膨らんだお肉をすり抜けることができるためです。
細ければ細いほど上記の効果は発揮されますが、その反面アクセサリーの強度が低下していきます。
極端に細いアクセサリーは歪みや変形をしやすいので取り扱いに注意が必要になります。

幅の広い指輪

指輪の幅が太くなるほど測定したサイズよりも大きめのサイズを選ぶ必要が出てきます。
幅が広い指輪は指のお肉に逃げ場かなくなり、指輪に詰まってしまうため内部から圧迫してしまうためです。
幅が広くなればなるほどお肉に逃げ場がなくなり、測定したサイズ以上の指輪を選ぶ必要があります。
指輪の内側が詰まっている指輪ほど上記の効果が発揮されてしまいます。
幅の広い指輪はサイズ感も大きくなるため、重量も重くなります。

裏抜き
重量の問題を解決するためにリングの内側削る「裏抜き」という技法があり、リングの内側を削ることで使用する金属を減らすことができます。
この「裏抜き」によってできた空間がお肉の逃げ場になり、幅広の指輪のサイズ問題の対策にもなっています。
「裏抜き」のある指輪は測定したサイズを身につけることができる可能性があります。
指輪の密着度が高いほど着け心地が良くなるため、「裏抜き」があまりない方が使用感は良くなるので製作する際に考慮する必要があります。

指のサイズを測る


今回はJCS規格のサイズ表記を参考にリングのサイズを測っていきます。
JCS規格は1号大きくなるごとに内周が約1mm、内径が約1/3mm大きくなっていきます。

簡単にサイズを測るには「リングゲージ」という専用の道具があります。
表から指の直径もしくは外径を測ることができれば指輪のサイズを決めることができるため、「リングゲージ」がなくても身近なモノである程度のサイズを測ることができます。

リングゲージで測る

「リングゲージ」は指輪のサイズを測るための専用の道具です。
一般的なリングゲージは「1号〜30号」までを計測することができ、幅が細めの指輪が30本束になっています。
1号以下や30号以上のサイズを測る場合には専用のリングゲージが必要となります。
リングの幅が広い「リングゲージ」もあり、装着したいリングの形によって使い分けることができます。

身近なモノで測る

指に巻きつけることができるものであればどんなモノでも使用することができます。
伸縮性のない布や紐、紙などがオススメです。

サイズの計測手順
1, 指の第2関節に巻きつけ、一周した所をペンなどで印をつける
2, 巻きつけていたものを伸ばし印から印の長さを測る
3, 計測した数値は表の内径となるため、表と照らし合わせ近い数値が指のサイズとなる

注意点
指は正円ではなく楕円形のため測定した数値が正しいわけではありません。
目当ての指輪がある場合は、その指輪の幅に合わせたモノを準備することでより精度が上がります。
あくまでも暫定的な測定方法のため、指輪選びに失敗しないためには「リングゲージ」を使用するか、ジュエリーショップなどで測ってもらうことをオススメします。

指輪の素材となる金属の種類


指輪を作る際に使用される代表的な素材である4つの金属について紹介していきます。

  1. 真鍮(Brass)
  2. 銀(Silver)
  3. 金(Gold)
  4. プラチナ(Platinum)

それぞれの素材ごとに特性があり、用途により使い分けられています。
金属を判別する方法としては、各金属ごとに素材の種類を刻印するため確認することができます。
稀に金属の種類を刻印しない製作者さんもいるため、刻印の有無で全てがわかるわけではなく一つの判断基準となります。

真鍮 (Brass)


黄色を帯びた金属で、銅と亜鉛の合金です。
安価な金属で比重も軽くアクセサリーの材料としてはポピュラーな素材になります。
金属としては劣化しやすく光沢のある状態を保つのは非常に難しくなります。

真鍮 (Brass)を彫金に使用する有用性

表面処理として古びたように加工することで、アンティーク調のアクセサリーをデザインすることが可能です。
シルバーのアクセサリーと組み合わせることで、作品の雰囲気にアクセントをつけることができます。

真鍮 (Brass)を身につける際の注意点

真鍮製のアクセサリーは汗や皮脂に反応し、属アレルギーを発症しやすい金属です。
金属アレルギーを発症しなくても、肌の表面が緑色に変色するといったデメリットがあります。

安価なアクセサリーの材料として使用される場合にはメッキ加工を施すことで、ゴールドやシルバーアクセサリーのように見せ販売されていることが多くあります。
メッキ加工された真鍮のアクセサリーには「ニッケル」を使用することがあり、この「ニッケル」は非常に金属アレルギーを引き起こしやすい金属です。
安価なアクセサリーを身につけて金属アレルギーが発症した場合には「ニッケル」による影響である可能性が高くなります。

真鍮 (Brass)見分ける方法

シルバーやゴールドなどの貴金属を使用したアクセサリーには、基本的には金属の品質を保証するために金属の種類が打刻されます。
金種の刻印のないアクセサリーは貴金属が使われていないと判別できます。

銀 (Silver)


白色の貴金属で、アクセサリーとして用いられる場合には銅との合金になります。
アクセサリーとして使用される銀の含有率は、925(銀:92.5%),950(銀:95%)の2種類があります。
「シルバーアクセサリー」と呼ばれるほど、アクセサリーの素材としてはポピュラーな金属です。

銀 (Silver)を彫金に使用する有用性

白く輝く金属であり、貴金属の中でも最も美しいと言われています。
適度に柔らかく柔軟であり、貴金属としては安価です。
シルバーは金属アレルギーの発症しづらい金属になります。
金属の表面加工の方法によって様々な表情のアクセサリーが製作されています。

銀 (Silver)を身につける際の注意点

「銀」は柔らかく傷のつきやすい金属です。
熱伝導率の高い金属のため極端に熱いものや冷たいものに接触させないようにしましょう。
火傷や凍傷の原因にもなってしまいます。

硫化
「銀」は硫黄に反応し黒く変色するため、硫黄系の温泉に入る際には注意が必要になります。
汗や皮脂に含まれる微量の硫黄にも反応し、徐々に表面が硫化していきます。
この特性を利用してシルバーアクセサリーを黒くすることもできますが、硫化した部分があるアクセサリーはそうでないアクセサリーよりも変色する期間は短くなります。
特徴的な白い光沢を維持するためには適度なメンテナンスが必要になります。

銀 (Silver)を見分ける方法

「銀」を使用しているアクセサリーは「SILVER」や「925」の刻印を打ち込むことで品質の証明をします。
ヨーロッパのカトラリーなどには「ホールマーク」と言われる品質証明をする刻印が打刻されています。
真鍮に比べ比重が重いため小さめのアイテムでも若干の重みを感じることができます。

「銀 (Silver)」という素材についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

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金 (Gold)


一般的には黄色い金属でジュエリーの素材としてだけではなく、投資の対象としても有名な貴金属です。
「金」は希少価値の高い貴金属で、1g あたりの金額が¥7,000を超えています(2021年6月現在の価格になります)。
ジュエリーに使用される金 (Gold)の含有率は、18金(金:75%),14金(金:58.5%),10金(金:42%)となります。

金 (Gold)を彫金に使用する有用性

古来より普遍的な価値を持つ貴金属である『金』を身につけるというのは一つのステータスと言えるかもしれません。
安定した金属のため経年劣化しにくく、あまりメンテナンスをしなくても金属光沢を維持してくれます。
『金』自体は非常に柔らかい金属なのですが、アクセサリーに使用される際には「金」に「銀と銅」を配合した3元合金にすることで非情に高い硬度を実現しています。
配合する金属により様々な色合いに変化するため、ジュエリーとしてのバリエーションも豊富になります。

金 (Gold)を身につける際の注意点

銀に比べると金は金属アレルギーを起こす可能性のある貴金属になります。
比重の重い貴金属で銀の約1.5倍になるため、見た目以上に重量感を感じさせます。
人によっては肩こりの原因になることもあるようです。

金 (Gold)を見分ける方法

「金」を使用しているジュエリーには品質を証明するため刻印を打刻します。
銀と違い含有している金の分量も確認できるように「K18」のようなカラット(Karat)表記が打刻してあります。
比重の重い金属のため、見た目以上に重く感じるジュエリーは金を使用しているかもしれません。

「金 (Gold)」という素材についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

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プラチナ (Platinum)


「プラチナ」はレアメタルとして工業製品にも多く使用されているにもかかわらず、金よりも採掘量が少ない希少な貴金属です
金よりも価値の高い金属として扱われていたことから、金をプラチナに似せるために「ホワイトゴールド」という金種が作られるほどでした。
ジュエリーに使用されるプラチナはパラジウムとの合金になります。
プラチナの含有率は、Pt900(プラチナ:90%),Pt950(プラチナ:95%)の2種類になります。
一部のパーツやチェーンはPt850(プラチナ:85%)を使用しているものがあります。
プラチナジュエリーとして認められるものはPt850以上の純度が必要になります。
白色の貴金属ですが銀とは白の色味が違い、金属の表面に反射した光が黒く見えるため、重厚感と落ち着いた雰囲気のある金属です。

プラチナ (Platinum)を彫金に使用する有用性

柔軟性があり粘り強い性質から精緻なジュエリーのデザインへの加工に適しています。
金属アレルギーを起こす可能性が低く安定した金属であり経年劣化しにくいため、日常生活をしていても変色などが起きづらくメンテナンスの頻度が低くてすみます。
白色の貴金属のため宝石の色彩に影響を与えることなく引き立てることができます。

プラチナ (Platinum)を身につける際の注意点

貴金属の中でも特に比重の重い貴金属で銀の約2倍になり、見た目以上の重さがあります。
柔軟性のある性質上、華奢なデザインのジュエリーは変形しやすいので扱いに注意しましょう。

プラチナ (Platinum)を見分ける方法

「プラチナ」を使用しているジュエリーには品質を証明するため、プラチナの含有量を示す「Pt900」や「Pt950」のような刻印を打刻します。
同じ白色の貴金属である銀と判別する方法は2つあります。
1つ目は重量です。
プラチナは銀の約2倍の比重があることから手にした際の重量感で判断できます。
2つ目は金属表面の反射光です。
プラチナは反射光が黒くなりますが、銀は白く反射します。

指輪の表面加工


指輪の見え方を決めるのは指輪表面のテクスチャーになります。
テクスチャーをつける工程のことを「仕上げ」と呼びます。
「仕上げ」はアクセサリーを磨く際の最終行程を指していて、指輪の仕上げ方によって雰囲気が大きく変わってきます。
それぞれの仕上げ方によって特徴があるので、簡単に説明していきましょう。

アクセサリーによっては部分的に仕上げ方を変える場合もあります。

鏡面仕上げ


表面を鏡のように磨きあげる仕上げの方法です。
金属本来の光沢を引き出すことができ、最もポピュラーな仕上げでもあります。
仕上がりが綺麗な反面傷なども目立つことから、綺麗な状態を保つためにはこまめにお手入れをする必要があります。

丁寧な磨きをしているかを確認するには蛍光灯などを映り込ませ、映し出された際の歪みなどを見ることで仕上がりの精度を確認することができます。

いぶし仕上げ


「銀 (Silver)」特有の仕上げ方になります。
「銀」は硫化することによって黒く変色します。
この性質を薬品を用いて人為的に起こすのが『いぶし仕上げ』になります。
薬品に触れた部分全てが変色してしまいますが、さらに研磨することで変色部分を落とすことも可能です。
これにより部分的に黒い場所を設けることで陰影を作り出すことができます。

荒らし仕上げ


金属表面を特定の工具を使うことで指向性を持って荒らす仕上げをいくつかご紹介します。

バレル仕上げ

磁気バレルという大型工具を使用します。
水と金属チップを容器に入れ、磁石のついた棒を回転させることで混ぜ合わせ、金属同士の摩擦によって研磨する方法です。
ある程度の光沢が確保できますが、鏡面仕上げと比べるとかなり甘い仕上がりになります。

使用するチップによって仕上がりが変わり、鏡面仕上げのように磨きあげることもできたりします。

ヘアライン仕上げ

ヤスリや金属ブラシ等を一定の方向で当てることで指向性のある傷をつける仕上げです。
あらかじめ傷をつけるようになりますが、鏡面仕上げの金属光沢とは違い柔らかい雰囲気の仕上がりになります。
細かな傷をつけているため、お手入れに使用するクロスなどで表面を研磨していまうと、雰囲気が崩れてしまうので気をつける必要があります。

リングの内側をヘアライン仕上げにすることで回転しないようにする、滑り止めのような効果を持たせることもできます。

サンドブラスト

細かな砂のような粒子を圧縮した空気とともに吹き付けることで、金属表面を荒らす仕上げになります。
均一に吹き付けることができるため、入り組んだ作りのデザインでも綺麗に荒らすことができます。
表面積が増えるため部分的な変色などが目立ちやすくなります。

ダスト加工

先端にダイヤモンドのついた工具を使用し、高速で金属表面に叩きつけることでランダムな光沢感のある独特の荒らし仕上げができます。
キラキラと輝くこの仕上げは量産性に欠ける面もあり、あまりアクセサリーとして見かけることはありませんが非常に美しい仕上げ方です。
細かな凹凸が無数にあるため汚れが詰まりやすく、お手入れには超音波洗浄機が必須になります。

槌目

金槌を打ちつけたままの状態のように見せる仕上げです。
金槌によって叩き込まれた浅いクレーター状の凹みがランダムに入っている様は、ハンドメイド感あふれる仕上がりになります。

彫り


金属の表面を「タガネ」と呼ばれる工具で削り出し、模様を彫り込む技法になります。
鏡面仕上げや荒らし仕上げを施した後に模様を彫り込んだりします。

和彫り

日本伝統の技法で、漢字や日本画のようなデザインを彫り込みます。
この技法が用いられているアクセサリーを見かけることはなかなかありません。

洋彫り

ペイズリーや花柄など曲線の多いモチーフを細かく彫り込むことができる技法になります。
「ハワイアンジュエリー」などがこの技法を使用してモチーフを彫り込んでいます。

メッキ加工


アクセサリーには表面に薄く別の金属を貼り付ける加工の工程を「メッキ加工」と呼びます。

メッキ加工のメリット
金属の表面を保護することで変色や傷などからアクセサリーを保護する。
表面の色味を変えることができるため、原材料となる金属以外の色合になる。
マスキングすることで、2種類以上の金属を使用しているように見せることが可能。
いぶし加工以外では金属は黒くならないが、ブラックメッキをすることで表現できる。

メッキ加工のデメリット
薄い金属が張り付いているため、傷や摩擦によって剥がれてしまう。
使用による経年劣化により薄くなってしまうため、適度にメッキ加工をする必要がある。
安価なアクセサリーのメッキに『ニッケル』が使用されることがあり、金属アレルギーの大きな原因となっている。

メッキの種類


メッキ加工は大きく「ジュエリーメッキ」「アクセサリーメッキ」に分けられます。

ジュエリーメッキ

貴金属などに施すメッキ加工で、薄く強い金属の膜によってジュエリーをコーティングします。
様々なメッキの種類があり、色合いも多くあります。
1点から加工に出すことが可能です。

アクセサリーメッキ

真鍮やそれ以下の非金属で、単価の非常に安いアクセサリーに使用されるメッキ加工になります。
メッキ層も厚く、剥がれる際には割れて剥がれ落ちます。
細かい色の指定はできず、「金メッキ」のように漠然とした色味の指定となります。
下地にニッケルを使用することも多く、金属アレルギーの原因になります。
ある程度のまとまった数を発注する必要があります。

ジュエリーメッキ

金メッキ

文字通り金色になるように表面がメッキされます。
色合いに幅があり、「K24」「K18」「K10」のように金種ごとのメッキが可能です。
主に真鍮やシルバー製品に使用されることが多いです。

ロジウムメッキ

金属表面がプラチナのような白色になるメッキ加工です。
ホワイトゴールドの製品はほぼ間違いなく「ロジウムメッキ」の加工をしています。
シルバーやゴールド製品に使用されます。

近年ロジウムの価格が高騰していることから加工費が急激に上がっており、代替できる金属が求められています。

ブラックロジウム

ロジウムメッキですが文字通り黒くなります。
最近ではあまり使用されていません。

ルテニウム

ブラックロジウムに変わり黒くするメッキは「ルテニウムメッキ」を使用しています。
薄いグレーからブラックまで色味に幅があり加工時には濃淡の指定をします。
「ルテニウム」が硬い金属のため金属の表面を保護する効果も期待できそうです。
シルバーには全体を黒くする目的で、ゴールドやプラチナはマスキングをすることで部分的に色を足し、陰影を表現する際に使用されます。

ピンク

ピンクゴールドを金属表面に貼り付けます。
淡いピンク色になるため、女性用のアクセサリーなどに多く用いられます。
真鍮やシルバー製品がこのメッキ加工をされることが多いです。

シルバー

金属表面に薄くシルバーを貼り付けます。
薄くてもしっかりと硫化するためいぶし加工も可能です。
真鍮のアクセサリーなどに使用されます。

下地メッキ

メッキ加工で貼り付ける金属の下に別の金属を挟むことで、メッキの発色をよくしたり貼り付きやすくする目的で「下地」としてメッキ加工をする場合があります。
真鍮はメッキ加工の貼り付きが悪いため下地メッキをすることが多くなります。
この「下地メッキ」に用いられるのが『ニッケル』になります。
金属アレルギー反応を起こしやすい金属で、上に貼り付けた金属を通り抜けて肌にダメージを与えます。
『ニッケル』を使用しない場合は『パラジウム』を下地に用いることもありますが、加工費に大きな差が出るためあまり使用されることはありません。

最後に

アクセサリーやジュエリーは様々なファクターによって構成された作品でもあります。
小難しい内容になってしまいましたが、それぞれの要素の知識を持って向かい合ってみると新しい側面が見えてくると思います。
それぞれのメリットとデメリット知り、自身の感性で選んだアクセサリーは間違いなく最高の選択と言えるでしょう。

アクセサリーの価値は素材や技術ではなく、感性と思い入れによって形作られます。
この記事が共に歩むアクセサリーとの出会いの一助になれれば幸いです。

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