【彫金】Gold(ゴールド),金ってどんなモノ?【素材編】

素材編
Qlip
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どうもちょっぴり職人Qlipです。
皆さんはGold(ゴールド)や金と聞いて何を想像しますか?。
ジュエリーだったりインゴットや延べ棒のような財宝のようなイメージや、投資の対象のような資産のイメージをお持ちかもしれませんね。
そんな高価なイメージの素材であるGold(ゴールド)の特性や、どのような素材なのかを少し深掘りしてみました。

高価なジュエリーといえばGold(ゴールド)とダイヤモンドのイメージがあるかもしれません。
Gold(ゴールド)と言っても様々な色や種類があるのですが、一般的にどのようなモノなのかはあまり説明されていないですよね。
Gold(ゴールド)ってどういったモノ?よく言われる「K18」ってどんな意味なの?金属アレルギーって大丈夫?など知るとアクセサリーやジュエリーの見え方が変わってくるかもしれません。
知ってるようで知らないGold(ゴールド)について書き留めていこうと思います。

Gold(ゴールド)とは

  • 元素番号は「Au」はラテン語のaurumに由来
  • 比重「19.3」、融点「約1,064℃」
  • 非常に高い展延性があり、様々な加工用途がある
  • 科学的に非常に安定した物質

Gold(ゴールド)は貴金属の代表格であり、日本名は「金」として古くからは大和言葉で「黄金(こがね/くがね)と呼ばれていました。
オレンジ味のある黄色い金属であり、独特の金属光沢が古代から人々を惹きつける魅力なのでしょう。

Gold(ゴールド)という金属

金は金属としては非常に重く、比重「19.3」は銀の比重「10.5」の約2倍となるため、同じ大きさの銀のインゴットと比べてもおよそ倍の重量ということになります。
金の融点である「約1,064℃」は鉄の「約1,536℃」と比べても低く、柔らかいために加工が容易だったことが古来より用いられてきた一つの要因なのだと思います。

金属の中でも最も高い展延性があり、1gの金は線として伸ばせば約3,000mの金糸に、平面状に延ばせば約1㎥、薄さ0.0001mmまで広げた金箔に加工することができます。

金は熱伝導率および電気伝導率ともに優れた性質を持ち、空気中や水中においても酸化や硫化など、ほとんどの科学的腐食(通常の酸やアルカリ)に対して非常に強い耐性を備えています。
この高い耐性があるからこそ、Gold(ゴールド)は長い先月を経ても大きく変化することがない不変的な価値を持つ金属とされているのです。

非常に安定した金属である金ですが、王水という特定の薬品によって溶かすことが可能です。
王水は濃塩酸3:濃硫酸1の割合で混合された薬品となり、金やプラチナのような貴金属を含めた多くの金属を溶解することが可能なことから、錬金術師によって命名されました。
この王水によって金やプラチナをリサイクルして使用することができています。

宝飾品以外でも、電気伝導率に優れ電気抵抗の小さい性質から、コンピューターのCPUや携帯電話などの電子部品に用いられています。

加工がしやすく性質的にも有用なため、宝飾品のみならず様々な用途使用される金は非常に優秀な金属素材と言えるでしょう。

Gold(ゴールド)は希少

これまで人類が採掘してきた金の総量はおよそ17〜18万t(トン) 程度であり、今後採掘が可能な量は約5万t(トン) 程度だと言われています。
金の供給量が年間で約3,000t(トン) 程度のようなので、数十年後には採掘できなくなる可能性があります

また金鉱石1t(トン) から得られる金は約3〜5g 程度しか採取できず非常に効率が悪いです。
近年では、パソコンや携帯電話のような電子機器に用いられる基盤などに使用された金属の再利用に注目が集まっており、金鉱石よりも効率よく金を抽出できることが証明されています。
これによって都市鉱山という新たな金の採取に注目が集まっています。

金自体は非常に安定した金属であるために、金としてのリサイクルが容易なため、金自体が枯渇することはありません。
現在使用されている金の何割かはリサイクルしたものでまかなわれているそうです。

リサイクルが可能なため無くなることはありませんが、総量が少ないことには変わりありませんので、希少な金属ということになります。

宝飾品としてのGold(ゴールド)

  • 宝飾品の金は合金
  • 金の品位や割合
  • カラーゴールドの種類

宝飾品の金は合金

柔らかく加工しやすい金属ではあるのですが、普段から身につける装身具としての性質上、傷や衝撃などへの耐久性が必要になってきます。
金単体では非常に柔らかいため、合金にすることで強度を上げ製品としての耐久性を得ています
また合金にする際に使用する金属によって、色味を変化させることができることも合金の魅力になります。

基本的には銀と銅を割金に用いた3元合金として使用されるのが宝飾品のGold(ゴールド)になります。
他にもに割金を変えることによって数種のカラーゴールドが存在していますが、使用される金属や割合は作成した企業などによって秘匿されているため、正確な内容を知ることは非常に難しいです。

金の品位や割合

金の品位表記は24分率で表される習慣があり、「24金」で純金になります。
宝飾品としてよく目にすることがある「K18」は18金であり、18/24で75%が純金で残り25%がその他の金属で構成されていることを示しています。
ちなみに「K18」の比重は「約15」となるので、同じ大きさの銀のリングの1.5倍の重さになります。

品位表記で使用する「K18」などに用いられる「K」はカラット (Karat) の省略です。
これは金の純度を24分率で示す単位で、宝石の重量を示す Carat (カラット) とは異なる単位になります。

ジュエリー用の合金は千分率で表記することが決められているため、ヨーロッパなどでは「K18」であれば「750」と表示されます。
品位区分としては、K22相当「916」,K18相当「750」,K14相当「585」,K10相当「416」のような割合で純金が用いられています。

日本国内で販売される一般的な製品は「K18」「K14」「K10」の3種類がほとんどです。
また割金の比率が上がるほど色味の変化が大きく出るようになります。

金の色の種類

金は配合する金属や量によって色味が変化していきます。
例えば、割金の銀を多くすると白っぽくなり、銅を多くしていくと赤みを強くしていきます。
一般的なところではイエローゴールドやピンクゴールド、ホワイトゴールドでしょうか。
他にもグリーンゴールドやレッドゴールドなどあまり馴染みのないカラーゴールドもあります。
今回は「K18」を例に挙げて一般的な3種類の金の色味の変化を解説していきます。

カラーゴールドについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

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イエローゴールド

最もポピュラーな色味のゴールドになります。
ゴールドといえばこのイエローゴールドをイメージすることが多いでしょう。
割金は銀と銅を使用しています。

実はイエローゴールドは2種類存在していることをご存知でしょうか?
我々職人や作家さんは、表記として「K18(5:5)」と「K18(6:4)」を使います。
色味にそこまでの違いは出ませんが、「K18(5:5)」の方がやや黄色みが強くなります。
それぞれ「ゴーゴー」「ロクヨン」と呼んでいます。
「K18(5:5)」はチェーンやパーツなどに使用していることが多く、「K18(6:4)」はリングやピアスなどの製品に使われることが多いです。

ピンクゴールド

女性に人気のある色味のゴールドで、海外ではローズゴールドとも呼ばれます。
割金は銀と銅を使用しますが、イエローゴールドと比べても銅の比率が多くなります。
銀2:銅8の比率で割金を入れ、「K18(2:8)」と表記し「ニッパチ」と職人間では呼びます。
他にも少量パラジウムを混ぜるなど幾つかの割金のパリエーションがあり、少しずつ色味が変わります。

銅の含有率が多い影響により硬く割れやすくなるので、リングのサイズ直しやリメイクなどが難しくなります。
また、化学変化も起こしやすく表面が変色しやすいため、こまめなメンテナンスが必要になります。

ホワイトゴールド

プラチナの代用品として開発されたのがホワイトゴールドです。
開発当時はプラチナが非常に高価だったため、代用品として白色のゴールドが生まれました。
現在(2020年現在)では金に比べプラチナが安価な金属になっており、代用品としての役割はあまり果たしていない状態です。

割金は銀とパラジウムを使用し、一般的にはパラジウムを10%使用します。
薄い黄色みを帯びてしまうためロジウムメッキを施すことが多く、普段目にするホワイトゴールドはロジウムメッキの白色になっています。
使用しているうちに変色したと感じた場合は、表面のロジウムメッキが剥落している可能性が高いです。

現在ではパラジウムを割金に用いることが一般的ですが、過去には割金にニッケルを用いていたことがあり、アンティークやヴィンテージとして流通していることがあります。
金属アレルギーの原因となりうるため注意が必要になります。

Gold(ゴールド)と金属アレルギー

アレルギーを起こしやすい金属の順位とパーセンテージ表

表のように銀と比べると金属アレルギーを起こす可能性のある金属になります。
シルバーアクセサリー同様に割金として使われる「銅」の影響も受けます。

金は銀とともに食品添加物として認可されており、金粉や金箔が料理などに使われています。
飲食した金は、胃酸などの消化液とは反応せず体内を素通りし排泄されます。
調理に使用される程度の微量な摂取量は健康に影響を与えないようです。

Gold(ゴールド)のちょっとした歴史

紀元前6000年頃に人間の生活圏に登場していたようです。
金の装飾品の出土は当時の文明における社会性や高度な技術の証明としても有用なものとなります。

最も有名なものとしては紀元前3000年頃に始まった「古代エジプト文明」でしょう。
ツタンカーメン王のマスクを筆頭に多くの金で作られた装飾品や副葬品が出土しています。
古代エジプトは史上でも有数の金産出地域でもあったこと、そして太陽信仰が盛んだったことに起因します。
金は太陽神ラーの体の一部であると考えられていたため、祭祀や呪術などの宗教儀式や王の埋葬に用いられたため、金細工も技術が大きく発展したようです。

金のインゴットの発祥も古代エジプト文明だと言われています。
これは金を塊として保管していた様子を「金」を表す象形文字とともに壁画に描かれているためです。
この象形文字は円の中心に点が描かれたもので、金の示すと同時に太陽の意味合いもあります。
この記号は占星術や錬金術にも用いられる記号であり象徴でもあります。

世界最古の金貨は紀元前670年に遡ります。
現在のトルコ周辺に存在したリディア王国が発行していたのが、「エレクトロン貨」という金貨になります。
この金貨は天然の金銀合金に動物や人物を打刻したものが使われていました。

まとめ

身近なジュエリーの素材として使われているGold(ゴールド)を知ってもらえたと思います。
金の特性や希少性に気づいて投資したくなってしまったかもしれませんね。

貴金属としても多様なカラーバリエーションを展開できるGold(ゴールド)は、ジュエリーとしても魅力的なものになります。
配合を知っていると並んでいるジュエリーの見え方が変わってくるかもしれません。

金製品は富と権力の象徴として様々な文明や時代で用いられてきました。
そんな金属を手軽に身につけられるようになったと思うと少し驚きますね。

少しでもジュエリーに興味を持って頂ければ幸いです。

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