【宝石】『アメシスト・紫水晶』古代から共に歩んできた輝石

宝石編
どうもちょっぴり職人Qlipです。
今回は一度は耳にしたことがある紫の宝石のお話です。

2月の誕生石でもあるアメシスト。
紫色の宝石でパワーストーンとしてもメジャーどころです。
宝石としてだけではなく鉱石標本としても人気があり、オーナメントとして石の内側にびっしりとアメシストがついている結晶集合体を見たことがあるかもしれません。
そんなポピュラーな宝石である『アメシスト』を深掘りしていきましょう。

アメシスト(紫水晶)という宝石

  • 和名「紫水晶」、英名「Amethyst(アメシスト)」
  • 紫色の水晶(クォーツ)を『アメシスト』と呼び区別している
  • ガラス光沢で、淡い紫から濃い紫まで幅広い紫色の色彩を持つ

アメシスト(Amethyst)の語源は、ギリシャ語のお酒の意味する「methy」に否定辞の「a」を加えた『a-methustos(酔わない)』に由来します

アメシストは水晶(クォーツ)の変種であり、水晶(クォーツ)に鉄イオンを含むことで紫色に発色しています。
結晶の成長構造に沿って色合いに濃淡や色ムラが出てしまうため、上質な宝石となる均一な色彩の結晶は希少価値が高くなります。
水晶(クォーツ)系の鉱物としては最も珍重されてきた変種が『アメシスト』と言われています。
アメシストは紫外線によって色味が退色してしまうため、保管する際には直射日光の当たらない場所に置くようにしましょう。

宝石の硬さを示すモース硬度は7と耐久性があり、産出量も安定しているため比較的安価な宝石といえるでしょう。
産出量が多く大きめの結晶もある程度産出することから、様々なカッティングの宝石や珍しいカッティングの施された宝石に、カメオのような彫刻(カービング)の施された芸術品まで幅広く加工されている宝石でもあります。

『アメジスト』と『アメシスト』どちらが正しい?

さて、ここまで『アメシスト』と紹介してきましたが、「アメジスト」と間違っているだろうと思われている方も多いと思います。
筆者も彫金を始めたての頃は同じように思っていました。

結論から言えば、正式名称は『アメシスト』です。
これは日本ジュエリー協会と宝石鑑定別団体協議会(AGL)が発表している「各種宝石の表記およびコメント」には『アメシスト』と表記されています。

鉱物名     天然クォーツ
カラー/透明度 ◇パープル
宝石名     アメシスト
出典:宝石の定義と命名法

ではなぜ「アメジスト」と呼ばれるのか?
これは「アメジスト」という呼称が消費者に深く浸透しているためです。
このため宝石店やジュエリーショップなどでも、消費者が認知しやすいよう「アメジスト」と表記していることが多いため、名称がごっちゃになってしまっているのが現状と言えるでしょう。

変身する宝石「アメシスト(紫水晶)」


アメシストは加熱することによって色合いが変化します。
極めて濃い紫のアメシストは熱処理を施すことで色合いを調整することも可能です。
さらに加熱することでシトリン(黄水晶)やスモーキークォーツ(煙水晶)という別の宝石になってしまいます。
これらの宝石は現在流通しているほとんどが加熱したアメシストです。

熱が部分的に加わった場合は部分的にシトリンに変化するため、アメシストとシトリンがくっついたバイカラーの宝石ができることもあり、このような宝石は両方の宝石名をつなげて『アメトリン』と呼ばれます。

緑色透明な「グリーンアメシスト」と呼ばれる宝石も存在し、天然の宝石はごく一部の地域で産出するのですが、熱処理や放射線処理を施すことで再現したモノも流通しています。
そのため、天然で採掘された宝石は『プラシオライト』と呼ばれ区別されています。

歴史ある宝石「アメシスト」


『アメシスト』は古代から世界各地において儀式に用いられ、身分の高い人間のみが身につけることの許された高貴な宝石とされてきました。
これは天然の紫色の染料がほとんど採取できなかったことに起因するようです。
キリスト教では指輪や胸当てに、古代エジプトでは魔除けとして用いられていまいした。
『アメシスト』は古くからの様々な文献に登場するほど人の歴史と共に歩んできた宝石です。
いくつか紹介していきましょう。

ギリシャ神話

最も有名な逸話はギリシャ神話です。

酒に酔ったバッカス(酒の神)が、最初に出会った人に猛獣(ピューマ)に襲わせようとしていた時、そこに通りかかったのが月の女神の女官である「アメシスト」でした。
バッカスは猛獣(ピューマ)をけしかけ、今にも女官「アメシスト」が襲われるという時、惨状に気づいた月の女神は一瞬にして「アメシスト」を純白の水晶に変えました。
その後、酔いから醒めたバッカスは自身の罪を深く反省し、水晶に葡萄酒を注ぎました。
その時、たちまち水晶は透き通った紫色に変わり、美しい紫色の宝石『アメシスト』なったと言われています。

このことからギリシャ語の『a-methustos(酔わない)』という意味を与えられ、古代ローマでは酒だけではなく、人生の悪酔いからも自信を守ってくれるとような言い伝えが残っています。
今でも西洋ではアメシストのグラスでワインを飲むと悪酔いしないとか、お酒に強くなると信じられていたりするようです。

キリスト教

旧約聖書に登場する高僧が身につける胸当てを飾る12の宝石の1つとして登場します。
伝統的に男性の宗教的献身を示す象徴としてや、「司教の石」と崇められるなど様々な場面や儀式に登場する重要な宝石のようです。

日本

日本においても紫は特別な色になります。
飛鳥時代に聖徳太子が定めたと言われている「冠位十二階」において、高い等級には紫色が用いられます。
日本に限ったことではないのですが、アメシストを所有することができたのは一部の位の高い人間のみでした。

最後に

アメシストはポピュラーな宝石ですが、歴史に基づいた隣人のような宝石でした。
古代から珍重されてきた宝石に気軽に触れることができていることは驚きを感じてしまいます。
比較的安価に手に入る宝石でもあるので、宝石を使ったアクセサリーの入門として使用してみてもいいと思います。

筆者はお酒が大好きなので、二日酔い対策にアメシストを使用したアクセサリーを作って身につけようと決心しました!!

アメシストという宝石を通してアクセサリーやジュエリーに興味を持って頂ければ幸いです。

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