【宝石】誕生石の由来をちょっと深掘りしてみる【知識編】

宝石編
Qlip
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どうもちょっぴり職人Qlipです。
「誕生石」というワードを耳にした事があると思います。
各月ごとに宝石が割り振られているアレのことです。

いつ、どのようにして定められたのでしょう?
誕生石のルーツはどこにあると思いますか?

意外と知らない「誕生石」について深掘りしてみました。

誕生石とは

1月から12月までの各月に当てはめられた宝石を総称として誕生石と呼びます。
生まれ月の宝石をつける事で幸せが訪れる、願いが叶うと言われていたりします。

また、日ごとに宝石を制定した誕生日石というものも存在しています。

各国ごとに解釈が違うのですが、日本では1958年に全国宝石商組合が制定をしています。

誕生石の歴史

誕生石のルーツは諸説あるのですが、占星術書物に残された記述だと言われています。
これらを元に宝石商たちが考案したものが「誕生石」になります。

占星術

紀元前6世紀頃のメソポタミヤ地方で栄えていたバビロニア帝国では、数学や天文学が盛んで12星座を選び占星術の基礎を築きました。
この12星座に宝石を関連づけたことで誕生石のルーツを作ったと言えるかもしれません。
後年、ユダヤの歴史学者は著書の中で、ユダヤ教の高僧の胸飾りに使用する12種の宝石は12星座と関係があると説明しています。

星座と宝石

水瓶座 ⇨ ガーネット
魚座  ⇨ アメシスト
牡羊座 ⇨ ブラッドストーン
牡牛座 ⇨ サファイア
双子座 ⇨ メノウ
蟹座  ⇨ エメラルド
獅子座 ⇨ オニックス
乙女座 ⇨ カーネリアン
天秤座 ⇨ ペリドット
蠍座  ⇨ アクアマリン
射手座 ⇨ トパーズ
山羊座 ⇨ ルビー

書物

明確に文章として残っているものは「聖書」になります。
そのなかで、ルーツと考えられるものが2つ存在します。

旧約聖書

1つ目は旧約聖書の出エジプト記28章17-21節に記されている、ユダヤ教の高僧が着用していた「アーロンの胸当て」または「裁きの胸当て」に12種類の宝石が縫い付けられていたようです。
3列4段に配置された宝石はイスラエルの12の部族に対応しており、それぞれに氏族名を彫刻するように指示されていました。

宝石の解釈は翻訳によって異なるので特定の宝石がルーツとは断定できていません。
代表例として3つほど紹介させていただきます。

– 聖書教会共同訳
第1列 ルビー、トパーズ、エメラルド
第2列 マラカイト、ラピスラズリ、縞メノウ
第3列 オパール、メノウ、アメシスト
第4列 ペリドット、カーネリアン、ジャスパー

– 新共同訳
第1列 ルビー、トパーズ、エメラルド
第2列 ガーネット、サファイア、ジャスパー
第3列 オパール、メノウ、アメシスト
第4列 アクアマリン、ラピスラズリ、ジャスパー

– 口語訳
第1列 カーネリアン、ペリドット、クォーツ
第2列 ガーネット、ラピスラズリ、サードニクス
第3列 シトリン、メノウ、アメシスト
第4列 イエロージャスパー、縞メノウ、ジャスパー

文字を彫刻する性質上あまり硬度の高い宝石は選ばれていなかったのかもしれません。
単純にイメージカラーの宝石を用いていたのかもしれませんね。

新約聖書

2つ目は新約聖書のヨハネの黙示録21章18-21節に記されている、聖都エルサレムの城壁の記述になります。
城壁には12の門があり、土台石がそれぞれ異なる12の宝石で飾られていたようです。

– 新約聖書 ヨハネの黙示録聖書教会共同訳 21章 19, 20節
都の城壁の土台はあらゆる宝石で飾られていた。第1の土台はジャスパー、第2はサファイア、第3はメノウ、第4はエメラルド、第5はサードニクス、第6はカーネリアン、第7はペリドット、第8はベリル、第9はトパーズ、第10はクリソプレーズ、第11は青玉(サファイア)、第12はアメシストであった。

サファイアが重複しているのが不思議な感じではありますが、名前を変えているので他の宝石を指していたのかもしれません。
また、エメラルドはベリル系の輝石になりますし、サードニクスはメノウ系の宝石なので意外と宝石の素性としては重複していることが多いようです。

この2つの記述に登場する12種類の宝石が誕生石の元となったという説が一般的です。

誕生石として売り出す

18世紀になってポーランドのユダヤ人宝石商によって広められることで、「誕生石」というものが認知されるようになりました。
当初は宝石商によって扱う宝石が異なっていました。
1912年にアメリカの宝石組合で定められたものを基礎として、1952年にアメリカの宝石小売商組合などの複数団体によって改訂されたものが基準となっています。
誕生石の種類は各国によって若干の違いがありますが、日本では1958年に全国宝石卸商共同組合が制定をしています。

現在は、実際の誕生石のルーツの由来や加護の是非に関係なく、宝石商の販売戦略に深く関わるものになっています。

日本の誕生石

現在の日本で認知されている宝石を紹介します。
サンゴやヒスイは日本特有の誕生石となります。

1月 ガーネット
2月 アメシスト
3月 アクアマリン,ブラッドストーン,サンゴ
4月 ダイヤモンド
5月 エメラルド,ヒスイ
6月 ムーンストーン,真珠(パール)
7月 ルビー
8月 ペリドット,サードニクス
9月 サファイア
10月 オパール,トルマリン
11月 トパーズ,シトリン
12月 ターコイズ,ラピスラズリ,タンザナイト

宝飾品を扱うブランドが誕生石として紹介する宝石は輝石を中心とした希少価値の高い宝石になります。
そのためブラッドストーンやヒスイ、サードニクスなどは誕生石にもかかわらず認知度が低くなっています。

まとめ

誕生石のルーツは古くからあり、由来や加護など宝石に込められた意味のある宗教的な内容だったようです。
占星術と聖書に登場する宝石に重複するものが多いためなんらかの相関関係があるのかもしれません。
誕生石にも歴史的なロマンがあるようですね。

しかし実際には、宝石商が宝石を売るための謳い文句として語られるビジネストークの話題として用いられたものが誕生石です。
誕生石の制定を宝石商組合がしているので、販売側が仕掛けたビジネスモデルということになります。
ダイヤモンドにいたってはルーツにも登場しないにもかかわらず誕生石として表記されています。

現在では多くの宝石の種類が存在しているので、気になったものを選んでみるのも面白いと思います。

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