【彫金】シルバーアクセサリーってどんなモノ?【素材編】

素材編
Qlip
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どうもちょっぴり職人Qlipです
皆さんが普段使っているアクセサリーはどんなモノかご存知でしょうか。
素材の特性を知ることでもっとアクセサリーを深く知ってみましょう。

今回は身近なアクセサリーにも使われるSilver(シルバー)です。
白っぽかったり黒ずんでいたり、さまざまな表情のある金属ですがどのようなモノなのかごぞんじですか?
そもそもSilver(シルバー)ってなに?Silver925ってなんの表記なの?金属アレルギーって大丈夫?などなど知っているとちょっと差のつくお話しです。
意外と知らないシルバー製品について知っていきましょう。

Silver(シルバー)てナニ?

  • 元素番号の「Ag」はラテン語のArgentineに由来
  • 「白色」の貴金属
  • 展延性に富み加工が比較的容易なため宝飾品や装飾品などに古くから用いられる
  • 融点は973℃
  • 化学変化によって黒く変色する

英名は「Silver」、日本名は「銀」で大和言葉では「白銀(しろがね/しろかね)」なんて呼ばれます。

宝飾品の素材である金やプラチナと共に、ジュエリー用貴金属として国際貴金属宝飾品連盟から品位区分を定められています。

展延性は金の次に高く、1g の銀は約2200mの線に伸ばすことが可能です。
これは東京スカイツリーを縦に3.5個並べた長さになります。

可視光線の反射率が金属の中で最大となり、光の反射が可視領域において98%と非常に高い。
そのため、磨き上げた時に金やプラチナよりも美しい金属光沢を放つ貴金属といわれています。
光を反射した部分が白く見えるのが銀で、黒く見えるのがプラチナやロジウムと見分けることができます。

熱伝導率が高いので、外気温や周囲の環境によって装着時にも影響が出ます。
高音や低温の環境では直ぐに温度が変動するので、火傷や凍傷に注意が必要になります。

特性として化学変化しやすく、黒く変色するのは「酸化」ではなく「硫化」という現象です。
硫黄系の温泉に装着したまま入浴をすると黒く変色したことはありませんか?
古くからカトラリーとして支配階級や富裕階級で用いられるのは、硫黄化合物やヒ素化合物などの毒物にいち早く変色し反応する性質から、自衛のための意味もあったと言われています。

宝飾品としてのSilver(シルバー)

  • 宝飾品の銀は合金
  • 割合ってどうなってるの?

宝飾品の銀は合金

銀単体では非常に柔らかいため合金にする事で強度を上げ製品にしています。
銅を割金に用いた2元合金が普段使用されているSilver(シルバー)の正体です。
この時の銀と割金の配合の比率によって品位と表記が変わってきます。

基本は銅を割金に使用しますが、中には金やプラチナ,パラジウムを使用する場合もあります。
金を用いるとうっすらと黄色みを帯び、プラチナやパラジウムを用いると反射光に黒味を帯びるようになります。
特殊な割金を用いた金属は、自分で配合して作る以外ではあまり流通していません。

筆者が地金を作った経験ですが、パラジウムで割ったパラ割の地金は変色しにくく、少し黒みを帯びた地金になります。
通常のシルバーの地金よりも柔らかく変形しやすいように感じました。

銀と銅の割合と品位

銀の品位の表記は千分率で表記され「Silver 1000」で純銀,ピュアシルバーになります。
※純度100%は精製できないためSilver 999.9と表記されます。
では、それぞれの名称と特性を見ていきましょう。

Silver900  銀90% ,銅10% : コインシルバー。
各国の貨幣などの銀貨の多くがこの配合。

Silver925  銀92.5% ,銅7.5% : スターリングシルバー(Sterling)。
イギリスの銀貨の品位であり「スターリング・ポンド」と呼ばれたことに由来。
宝飾品として最も一般的な品位であり、強度や耐久性に優れた配合。

Silver950  銀95% ,銅5%
七宝技法と相性のいい配合。
純度が高いためSilver925と製品の差別化をするために用いられることがある。

Silver958  銀95.8% ,銅4.2% : ブリタニアシルバー(Britannia)。
一時期イギリスがスターリングシルバーから銀貨の品位を高める割合にしたためこの名がついているが、柔らかすぎたためにスターリングシルバーに戻された経緯がある。

Silver1000  銀99.99% : 純銀、ピュアシルバー。
銀のインゴットは30kgのラージバーで、それ以下の重量は笹吹き※(ささぶき)で売買される。
※水中に入れた笹の葉の上に溶かした銀を注ぎ粒状に凝結させたモノ。

Silver(シルバー)と金属アレルギー

  • 金属アレルギーのメカニズム
  • Silver(シルバー)はアレルギーの原因ではない

金属アレルギーのメカニズム

金属が汗などによって溶けだすことでイオン化し、皮膚のタンパク質と結合することで異種タンパク質になります。
それを異物と判断した体が防御する免疫反応のことを指します。

つまり、汗や唾液などによって金属が溶けて体内に入ることで体内タンパク質が変質し、有害な物質として過剰に反応することで事で肌の炎症や痒みの症状を引き起こすことになります。

アレルギー反応が出てしまった場合は病院に行って相談しましょう。
パッチテストを受けると自分が何にアレルギー反応が出ているのかを知る事ができます。

Silver(シルバー)と金属アレルギー

アレルギーを起こしやすい金属の順位とパーセンテージ表

表のように、シルバー自体は金やプラチナよりもアレルギーを起こしにくい金属になります。
シルバーアクセサリーで金属アレルギーが起こる原因は、合金の割金として使われる「銅」の影響によるものです。

安価なアクセサリーではメッキ加工をされていることが多く、メッキをする際に発色を良くするために用いられるのがニッケルになります。
このニッケルは表にもあるようにアレルギー反応を起こしやすい金属のため注意が必要です。
このため、安価なアクセサリーで金属アレルギーが出る人は、ニッケルの金属アレルギーであることが多いです。

Silver(シルバー)の歴史

紀元前3000年頃には人間の生活圏に登場していました。
古代においては自然銀の産出量が自然金よりも少なかったために金よりも珍重されていた時代もあり、古代エジプトや古代インドでは金に銀メッキを施した宝飾品も存在します

精錬技術の向上に伴い産出量が増加したため現在の様に金よりも価値の低いものとなっていますが、それでも産出量が希少なため金と並んで各文明圏において貴重なものとして扱われました。

貴金属であり、かつ量を市場に供給できるために通貨としての用途に使用され多種多様な銀貨が存在しています。
純度証明する刻印が各文明、各国に存在しアンティークにはホールマークと呼ばれる打刻が複数種類存在し、年代や品位を見分ける指標となっています。

Silver(シルバー)の歴史を詳しく深掘りした記事はこちらになります。

【彫金】銀,Silver(シルバー)の歴史をちょっと深掘り【知識編】
金と共に貴金属として太古より珍重されてきた銀は、素材の性質も相まって様々な形に加工されていきました。 金属の中でも特に高い光の反射率を誇ることから、古来より月の光に例えられ魂の浄化や聖なる金属として、富の象徴としてのみならず魔除けや招福...

まとめ

身近なアクセサリーに使われるSilver(シルバー)が思ったよりも奥深いことに気づいていただけたと思います。
割金や割合などは知らない人も多くいますので、知っているだけでもちょっと差のつく豆知識になるでしょう。
金やプラチナよりも美しい半面お手入れに手間もかかりますが、経年変化も楽しめる魅力ある貴金属であることに気がついてもらえれば幸いです。

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