Gold(ゴールド)を素材としたジュエリーとひとくくりにしてもいろいろな色合いがあることをご存知でしょうか?
一般的なところでは金色がイメージしやすいとは思いますが、女性に喜ばれるようなピンク色やプラチナのように鈍いシルバー色のジュエリーも一般的です。
なぜ多彩な色合いになるのか、カラーゴールドについて深掘りしていきます。
Gold(ゴールド)の品位や割合による色味の変化
金の品位表記は24分率で表される習慣があり、「24金」で純金になります。
宝飾品としてよく目にすることがある「K18」とは18金であり、18/24で75%が純金で残り25%がその他の金属で構成されます。
品位区分としては、K22相当「916」,K18相当「750」,K14相当「585」,K10相当「416」のような割合で純金が用いられています。
日本国内で販売される一般的な製品は「K18」「K14」「K10」の3種類がほとんどです。
「K24」が本来のGold(ゴールド)の色となり、オレンジ味を帯びた黄色になります。
合金にするための割金の比率が上がるごとに黄色みが薄れていき、色味の変化も大きく出るようになります。
カラー | 割金 | 比率 |
イエロー | 銀:銅 | 6 : 4 |
5 : 5 | ||
ピンク | 銀:銅 | 2 : 8 |
銀:銅:パラジウム | 2 : 8 : パラジウム 2 ~ 3% | |
ホワイト | 銀:パラジウム | パラジウム 10% , 15% |
グリーン | 銀:銅 | 10 : 0 |
レッド | 銀:銅 | 0 : 10 |
シャンパン | 銀:パラジウム | パラジウム 7% |
ブラウン | 銀:銅:パラジウム | |
グレー | 銀:ルテニウム | |
ブラック | 銀:ルテニウム | |
パープル | アルミニウム | |
ブルー | イリジウム | |
ガリウム |
Gold(ゴールド)の含まれる量が減ることによってゴールド本来の色味は失われていきますが、割金による色味の変化は顕著になります。
Gold(ゴールド)という金属につきましてはこちらの記事で紹介しています。
Gold(ゴールド)のカラーバリエーション
Gold(ゴールド)は配合する金属や量によって色味が変化していきます。
例えば、割金の銀を多くすると白っぽくなり、銅を多くしていくと赤みを強くしていきます。
職人や作家さんは「K18 [ 品位 ] YG [カラー] ( 5 : 5 ) [ 銀 : 銅 ]」のようにGold(ゴールド)を区別しています。
一般的なところではイエローゴールドやピンクゴールド、ホワイトゴールドでしょうか。
他にもグリーンゴールドやレッドゴールドなどあまり馴染みのないカラーゴールドもあります。
イエローゴールド 『YG』
最もポピュラーな色味のゴールドになります。
ゴールドといえばこのイエローゴールドをイメージすることが多いでしょう。
割金は銀と銅を使用しています。
実はイエローゴールドは2種類存在していることをご存知でしょうか?
我々職人や作家さんは、表記として「K18 (5:5)」と「K18 (6:4)」を使います。
それぞれ「ゴーゴー」「ロクヨン」と呼んでいます。
色味にそこまでの違いは出ませんが、「K18 (5:5)」の方がやや黄色みが強くなります。
「K18 (5:5)」はチェーンやパーツなどに使用していることが多く、「K18 (6:4)」はリングやピアスなどの製品に使われることが多いです。
ピンクゴールド 『PG』
女性に人気のある色味のゴールドで、海外ではローズゴールドとも呼ばれます。
割金は銀と銅を使用しますが、イエローゴールドと比べても銅の比率が多くなります。
銀2:銅8の比率で割金を入れ、「K18 (2:8)」と表記し「ニッパチ」と職人さんたちは呼びます。
他にも少量パラジウムを混ぜるなど幾つかの割金のパリエーションがあり、少しずつ色味が変わります。
ホワイトゴールド 『WG』
プラチナの代用品として開発されたのがホワイトゴールドです。
開発当時はプラチナが非常に高価だったため、代用品として白色のゴールドが生まれました。
現在(2020年現在)では金に比べプラチナが安価な金属になっており、代用品としての役割はあまり果たしていない状態です。
割金は銀とパラジウムを使用し、一般的にはパラジウムを10%使用します。
「K18WG Pd10%」と表記し稀にPd15%を使っているブランドさんもあります。
薄い黄色みを帯びてしまうためロジウムメッキを施すことが多く、普段目にするホワイトゴールドはロジウムメッキを施したロジウムの白色ななります。
使用しているうちに変色したと感じた場合は、表面のロジウムメッキが剥落している可能性が高いです。
現在ではパラジウムを割金に用いることが一般的ですが、過去には割金にニッケルを用いていたことがあり、アンティークやヴィンテージとして流通していることがあります。
金属アレルギーの原因となりうるため注意が必要になります。
グリーンゴールド 『GG』
割金を銀のみにすることで、やや青みを帯びた緑色のカラーゴールドを作ることができます。
伝統工芸での彫金などに用いられることがあり、「青割り」や「青金」とも呼ばれる黄緑色に近い柔らかな色合いで、落ち着きのある雰囲気を持ちます。
鋳造(キャスト)する場合は硬度を確保するために銅を配合するため、銀8:銅2の割合の割金を使用することがあります。
非常に柔らかいため鋳造(キャスト)でのジュエリーには向かないのですが、地金からの手作りや打ち出しなど地金から加工する場合には強度を確保することが可能になります。
レッドゴールド 『RG』
割金を銅のみにすることで、赤みの強いゴールドになります。
日本では「赤金」や「赤割り」とも呼ばれます。
筆者の知人が作品に使用した際に、加工時にバラバラに砕けてしまうなどのトラブルが続発し、加工が非常に困難な素材であることがわかりました。
鋳造(キャスト)との相性が非常に悪く、地金作りから自身で作り加工していく以外では使用することが難しい素材だと思います。
シャンパンゴールド
割金はホワイトゴールドと同じ銀とパラジウムを使用しますが、割金のパラジウムを減らすことでブラウンよりの上品な色合いになります。
近年落ち着いた上品な色合いから人気の高まってきているカラーゴールドです。
ロジウムメッキを施さないホワイトゴールドをシャンパンゴールドと呼称する職人さんもいたりします。
筆者の先輩が結婚指輪に使用しており、淡いゴールドの上品な色合いが普段使いにも主張しすぎないので使いやすそうです。
地金にメッキ加工をしないかとがで素材そのままの美しさを楽しめるで、ホワイトゴールドよりも筆者としてはオススメのカラーゴールドになります。
ブラウンゴールド
割金は銀と銅に少量のパラジウムを加え色味を調整します。
銀よりも銅が多めになるように配合することでシックなブラウンカラーのゴールドになります。
シャンパンゴールドよりも黄色味が抑えられ独特なナチュラル感のあるカラーゴールドです。
ロジウムメッキを施さないホワイトゴールドをブラウンゴールドと呼称する職人さんもいたりします。
グレーゴールド
割金に銀とルテニウムを使用することでグレーのカラーゴールドになるようです。
他にも割金に鉄を使用したりする場合もあるようで、日本ではあまり出会うことのないカラーゴールドです。
黒みがかった白色をしてをしています。
鉄を割金に使用している場合は表面が酸化します。
この酸化作用を利用して表面を黒くすることも可能なようです。
ブラックゴールド
割金は銀とルテニウムを使用しますが、グレーゴールドよりも使用する割合を多くします。
真っ黒というわけではなく濃い灰色のカラーゴールドになるようです。
パープルゴールド
金とアルミの合金によって可能なカラーゴールドになります。
特定の専門店しか扱うことができないようになっているため一般に普及することはありません。
脆く壊れやすい性質と時間経過で変色してしまうために、色味を保つのが難しいようです。
ブルーゴールド
滅多に見ることはないカラーゴールドです。
割金にはインジウムやガリウムといった希少金属を用いることで青い色味を作り出すことができます。
「青い金属」ではなく「青みを帯びた金属」をイメージしたカラーゴールドになるようです。
割金のインジウム、ガリウムともに割合が25%以上必要になるため「K18」のカラーゴールドにはなりません。
まとめ
Gold(ゴールド)は割金によって多彩な色味を表現できる貴金属です。
宝石やデザインに合わせて色合いを変化せさることで表情を変え、ジュエリーを彩る主役でもあり額縁として宝石を際立たせることもあります。
あまり一般的に流通していないカラーゴールドは、加工が困難であったり色味を保つことが難しいなど、何かしらのデメリットが存在しているために普及していません。
珍しいということはそれなりの理由があるということです。
様々な表情で私たちを楽しませてくれるGold(ゴールド)ですが、どのようにして色合いを作り出しているのかを知ると見え方も少し変わってくると思います。
Gold(ゴールド)の多様性にふれ色合いを楽しめるようなきっかけになれればば幸いです。
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