『柘榴石・ガーネット』【宝石】ガーネットは種族名

宝石編
Qlip
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どうもちょっぴり職人Qlipです。
今回は赤い宝石のお話しをします。

1月の誕生石でもあるガーネット。
赤い宝石といえばルビーとガーネットを思い浮かべる人は多いと思います。
ところが、ガーネットはほとんどの色相が存在すると言われるほど種類の多い宝石なのです。
そんなポピュラーな宝石でありながら未知の鉱物でもある『ガーネット』を深掘りしてみます。

ガーネット(柘榴石) とは

  • 和名「柘榴石(ざくろいし)」、英名「Garnet(ガーネット)」
  • ケイ酸塩鉱物のグループの名称
  • ガラス状の光沢があり、透明度や色味は結晶の種類によって異なる

ガーネット(Garnet)の語源は、鉱物として発見される際に岩などにびっしりと結晶が張り付いた状態で発見されることから、ラテン語で『種子』を意味するグラナタス(Granatus)から由来しています。
ザクロの実の種子に見えることから和名は『柘榴石』とも呼ばれます。

ガーネットは採掘された状態から不純物の内包が少なく、整った形状の結晶が産出することから、古代より宝石として珍重されてきました。
ガーネットの結晶は24面体や12面体の結晶系から、2種類の結晶が合わさった36面体の結晶で発見されます。
品質の高い結晶面は「天然のカットされた宝石」と言っても問題のないほど整っています。

ガーネットという名称は特定の宝石の名称ではなく、鉱物学的に同じ結晶構造をもつ鉱物の総称でり、16種類の鉱物に分けられ『ガーネット族』とも呼ばれます。
宝石として扱われるのは16種類の中でも6種類になります。

ガーネットは赤い宝石というイメージがありますが、実は組成によって他の宝石には類を見ないほどの非常に多くのカラーバリエーションが存在するカラフルな宝石です。

ガーネットという鉱物

宝石のガーネットは大きく2系統に別れ、さらに1系統を3種類に分類した合計6種類を宝石として扱います。
結晶を構成する成分が単一の場合を『端成分』と呼び、いくつかの成分が溶け合い結晶化したものを『固溶体』と呼ぶのですが、これによって多様なカラーバリエーションと特徴を持ったガーネットという宝石が生み出されています。

パイラルスパイトパイロープ(Pyrope)ガーネット
アルマンディン(Almandine)ガーネット
スペサルティン(Spessartine)ガーネット
ウグランダイトウバロバイト(Uvarovite)ガーネット
グロッシュラー(Grossular)ガーネット
アンドラダイト(Andradite)ガーネット

パイラルスパイト系列

主に赤色系のガーネットがこの系統になります。
パイロープ(Pyrope)、アルマンディン(Almandine)、スペサルティン(Spessartine)それぞれの頭文字を組み合わせた名称です。

それぞれの成分が溶け合うことで多様な色彩を放つ宝石を生み出されます。
赤い煌きを放つパイラルスパイト系列の宝石についてはこちらの記事で紹介しています。

『柘榴石・ガーネット』【宝石】赤い煌きパイラルスパイト
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パイロープ(Pyrope)ガーネット


・赤色〜暗赤色
・モース硬度:7〜7.5
アルマンディンと非常によく似た色合いのため明確に区別するためには化学分析が必要
・しっかりとした結晶になることが稀で、小さい結晶の集合で産出することが多い
大きなサイズの宝石はほとんどないと言われている
・ギリシャ語の「火」を意味する「Pyr」が名称の由来
・和名:苦礬柘榴石(くばんざくろいし)

アルマンディン(Almandine)ガーネット


・赤色〜暗赤色
・モース硬度:7〜7.5
一般的に流通している『ガーネット』はアルマンディンガーネット
・研磨加工しているトルコの都市アラバンダ(Alabanda)が名称の由来
・美しい結晶は宝石として、基準に満たなかった結晶は研磨剤として利用される
・和名:鉄礬柘榴石(てつばんざくろいし)

スペサルティン(Spessartine)ガーネット


・オレンジ色〜茶褐色、灰色
・モース硬度:7〜7.5
純粋な結晶は淡い黄色になるが、他の元素が入ることで色合いが変化する
・ドイツの地名「シュペッサルト(Spessart)」が名称の由来
・和名:満礬柘榴石(まんばんざくろいし)

ウグランダイト系列

混入する元素によって色合いや性質が幅広く変化し、様々な色合いのガーネットがこの系列に含まれます。
ウバロバイト(Uvarovite)、グロッシュラー(Grossular)、アンドラダイト(Andradite)それぞれの頭文字を組み合わせた名称です。

個性的なガーネットの宝石が属するウグランダイト系列の宝石はこちらの記事で紹介しています。

『柘榴石・ガーネット』【宝石】色彩豊かなウグランダイト
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ウバロバイト(Uvarovite)ガーネット


・緑色
・モース硬度:6.5〜7.5
・宝石としてのガーネットとしては最も稀少
美しい緑色の結晶だが、大きな結晶が産出することはほぼない
カットされた宝石として市場に出ることはなく、原石が鉱石標本として流通している
・ウヴァロバイト:灰クロム柘榴石(かいクロムざくろいし)とも呼ばれる
・ロシアの学者で政治家のレルゲイ・ウヴァーロフ (Sergey Uvarov) が名称の由来
・和名:灰鉻柘榴石(かいかくざくろいし)

グロッシュラー(Grossular)ガーネット


・無色、緑色、黄色、オレンジ色、ピンク色、赤色、褐色、黒色など多様
・モース硬度:6.5〜7.5
特に緑色のグロッシュラーガーネットが人気
純粋な結晶は無色になるが、いくつかの成分を含むことが多く様々な色合いの宝石となる
・西洋スグリを意味するラテン語のグロッシュラリア(Grossu-laria)が名称の由来
・和名:灰礬柘榴石(かいばんざくろいし)

アンドラダイト(Andradite)ガーネット


・緑色(デマントイド)、黄色(トパゾライト)、黒色(メラナイト)
・モース硬度:7
色によってそれぞれの名称が与えらえれている
透明度の高いものは光の分散値がダイヤモンドを上回る宝石
・変種に表面が虹色の光沢を有するレインボーガーネットが存在する
・ブラジルの鉱物学者であるJ.B.Andradaに由来する
・和名:灰鉄柘榴石(かいてつざくろいし)

まとめ

今回は鉱石としてのガーネットにスポットを向けてお話ししました。
宝石となるガーネットは複数あり、それぞれの個性と様々な色彩豊かな結晶それぞれがガーネットという宝石であることは驚きです。
また、それらが混ざり合うことで多くの美しい色彩を持った宝石が生まれます。
多彩な宝石については次回に紹介いたします。

ガーネットという宝石は著者も驚くほど奥深い宝石であり、様々な魅力のある鉱石でもあります。
宝石としてだけではなくガーネットという鉱物にも興味を持っていただければ幸いです。

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