『ビスマス鉱石』【宝石編】カラフルで幾何学的な不思議結晶

ビスマス 鉱石 結晶 宝石 とは 幾何学宝石編
どうもちょっぴり職人Qlipです。
今回は色鮮やかな結晶のお話をします。

『ビスマス』という鉱物をご存知でしょうか?
レアメタルに分類される金属になるのですが、結晶化した形状の特異性と色彩が美しいことからアクセサリーや鉱石標本として人気のある鉱物となります。
そんな『ビスマス鉱石』について深掘りしていきます。

『ビスマス鉱石』とは

  • 和名「 蒼鉛(そうえん)」、英名「Bismuth(ビスマス)」
  • 「ビスマス鉱石」はレアメタル(希少金属)
  • 自然には存在しないような金属光沢を放つ
  • 結晶が特異な成長をするため「ビスマス鉱石」特有の形状になる

ビスマス(Bismuth)の語源は、ドイツ語で白い塊を意味する「Weisse masse」に由来する。
和名で使われる「蒼」はくすんだ灰色のことを指しています。

金属としての「ビスマス」はレアメタル(希少金属)に分類されます。
淡く赤みがかった銀白色の金属で、単体でも産出はするが一般的には硫化物の状態で他の金属鉱石との混合物として採掘され、主に鉛やタングステンの精錬の際に副産物として生産されます。
宝石の硬さを示すモース硬度は2~2.5と低いため、柔らかく脆い。
融点が271.3℃と低いため、簡単に溶かすことができます。

人工的に作られた「ビスマス鉱石」が観賞用の鉱石標本として市販されています。
「ビスマス鉱石」として販売されている鉱石標本がカラフルで多彩な色合いをしているのは、表面の酸化膜が光の反射に干渉することで起こる発色になります。
虹色のようなグラデーションの発色は、ビスマス鉱石が冷却される際の速度の違いから酸化膜の厚みが変化するためです。

ビスマス鉱石は鉱石標本に見られるような凹凸のある特殊な形に結晶化します。
骸晶(がいしょう)と呼ばれる結晶化のプロセスによって形作られます。

骸晶
結晶の隅や稜線の部分のみが急速に成長することで、結晶面の中央部の成長が遅れるため面が形成されず、結果不完全に凹んだ面に囲まれた結晶が出来上がります。
雪や岩塩の結晶にも見られる現象です。
ビスマスは胃薬や化粧品の原料にもなる不思議な鉱物です。

アクセサリーにするには適しているとは言い難い「ビスマス鉱石」ではありますが、硬度の低さを考慮したデザインさえできれば、色鮮やかで独特な結晶を用いた作品作りをすることができます。

『ビスマス鉱石』をアクセサリーへ加工するためには


「ビスマス鉱石」は非常に脆い鉱物になり、手でちぎることが可能で結晶の凹凸に沿って割ることができます。
この特性を活かしてある程度であれば結晶の大きさの調整や、使用したい部位をピックアップするとができます。

「ビスマス鉱石」は宝石として扱うにはとても比重の大きい鉱物で、結晶の見た目以上に重い素材です。
有名な宝石であるダイヤモンドやルビーなどの輝石の比重は3~4程度であり、重いと感じるパイライトで比重が5であることを考えると、ビスマスの比重9.78の数値が非常に高いことがわかります。

以上を踏まえた上で製作の際に工夫するポイントをお話しします。

製作するアクセサリーの種類を考える


ビスマス鉱石の特性上、指輪やブレスレットのような摩擦や衝撃を受けやすいアクセサリーには向きません。
スタッズタイプのピアスもポストの着脱の際に指でつまむため避けたほうがいいでしょう。

大きな結晶を使用する場合はネックレスやイヤカフ,ブローチに、小さな結晶はネックレスなどに加えてぶら下がるタイプのピアスやイヤリングに加工できます。

ピアスにする際の注意点として、ビスマス鉱石の結晶は大きさの割に重いため、使用する結晶の大きさに気をつける必要があります。

「ビスマス鉱石」を固定する方法を考える


アクセサリーにするに当たって問題になるのは「ビスマス鉱石」を設置する方法についてです。

接着剤


一番簡単な方法は接着剤で固定する方法です。
接着する面積を確保できればそれなりに強度がでます。
「ビスマス鉱石」が大きく露出した状態で設置する場合は、摩擦や衝撃により破損する可能性を考慮したアイテムを選択ましょう。
接着剤は経年劣化するため長期間の使用には向きません。

接着剤を使用した場合、作品がチープに見えてしまうことがあるため、できれば使用しないようにしています。

石枠を作る


「ビスマス鉱石」を固定できるように枠組みを製作し結晶を固定する方法です。
製作するアクセサリーに「ビスマス鉱石」が設置できるように枠を作るため、作品に一体感を持たせることができます。
結晶を留める際に破損させてしまう危険があるので、慎重に作業することが必要です。

ビスマス鉱石を固定する際に、留めるための爪が結晶に沈み込むような感触が手元に伝わってきたら破損する寸前です。

使用する「ビスマス鉱石」の形を踏まえたデザインをする


「ビスマス鉱石」は一つとして同じ形状の結晶は無いため、使用する鉱石の形状を生かしたデザインを考える必要があます。
美しい結晶面を前面に出しつつ、摩擦や衝撃から守るように周りを補強することが望ましいです。

ネックレスやぶら下がるタイプのピアス,イヤリングであれば、ある程度結晶の露出したデザインでも製作は可能になります。
リングやブレスレットなどの摩耗しやすいアクセサリーを製作する際には、結晶の突起を保護するように包み込むことでビスマス鉱石の破損を防止することができます。

「ビスマス鉱石」は突起が多く固定する場所の候補が多く自由度の高い素材です。
細かく固定するポイントを設置することで、結晶に掛かる負荷を分散すれば破損する確率を軽減することができます。

『ビスマス鉱石』は自宅で作れる


ホームセンターやネットでビスマスのチップが売っています。
ビスマスチップをステンレス製の容器で溶かし、結晶を育てることで「ビスマス鉱石」を自分で作ることが可能です。
簡単な理科の実験の様な工程ですが、高温の金属を扱うため作業は慎重に作業しましょう。

正確な手順は改めて紹介できるようにしたいと思います。

最後に

「ビスマス鉱石」は鉱石標本として人気ですが、アクセサリーとして販売されていることはあまりありません。
理由としては非常に脆い性質からアクセサリーには向いていないためです。
ですが他の宝石などには無い幾何学的な見た目と、色鮮やかな発色がとても魅力的だからこそ身につけられるようにしたいと思ってしまいます。

「ビスマス鉱石」はネットでも購入することは可能ですが、ミネラルショーやミネラルフェアなどの鉱石の販売イベントで数多く販売されていますので、イベントに参加して自分好みの結晶を探し出すことをお勧めします。
イベント外で実物を見て購入したい場合は御徒町にある鉱石を扱っているお店を巡ってみるのも面白いかもしれません。

素材の特性を知ることで、作品作りに生かし工夫することも製作の楽しみの一つです。

特異な結晶であり色彩の美しい「ビスマス鉱石」に触れることで様々な宝石や鉱物にも興味を持っていただければ幸いです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました